エスカレーターの「2列乗り」が定着しないのはなぜ?専門家が語る驚きの理由と「真のマナー」
駅や商業施設で当たり前のように目にする、エスカレーターの片側空け。「急ぐ人のために道を譲る」という親切心から始まったこの習慣ですが、実は今、全国で「歩行禁止・2列利用」への転換が強く呼びかけられています。しかし、行政の呼びかけにも関わらず、なかなかルールが浸透しない現状。そこには日本特有の「同調圧力」が深く関係していました。エスカレーターの安全な乗り方と、私たちが意識すべき新しいマナーについて深掘りします。
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マナーだったはずの「片側空け」が事故の原因に?
かつては「国際的なマナー」として普及した片側空けですが、実はエスカレーターの設計自体、人が歩くことを想定していません。日本エレベーター協会の調査によると、直近の事故件数は2060件にものぼり、その約4分の1が「乗り方不良」によるものです。歩行による振動や接触は、重大な事故に繋がりかねない危険な行為なのです。また、麻痺や怪我などの理由で、左右どちらかの手すりにしかつかまれない方にとって、空いている側を歩く人の存在は大きな恐怖となります。全ての人が安心して利用するためには、「立ち止まって乗る」ことが不可欠なのです。
なぜ止まれない?背景にあるのは「周囲への合わせ」
江戸川大学の斗鬼正一名誉教授は、片側を空けてしまう心理を「無意識ではなく、周囲に合わせた結果」と指摘しています。たとえ「歩行禁止」の掲示があっても、周りが一列に並んでいれば、自分だけ右側に立つのは勇気がいるもの。「急いでいる人の邪魔をしてはいけない」という配慮が、皮肉にも「2列乗り」を阻む同調圧力となってしまっているのです。広島駅などの主要駅でも、10人以上の順番待ちができているのに右側がぽっかり空いている光景は、まさにこの心理を象徴しています。ルールを定着させるには、個人の意識だけでなく、社会全体の空気感を変える必要があると言えます。
条例化で変化も!名古屋市に見る「2列立ち」の兆し
こうした状況を打破しようと、自治体も動き出しています。2023年にエスカレーターでの立ち止まりを条例で義務付けた名古屋市では、目に見える変化が現れました。調査によると、施行後に右側に立つ人の割合が約13ポイント増加し、逆に歩く人は大幅に減少したのです。「条例」という明確な後ろ盾ができることで、利用者が安心して右側に立てるようになり、事故の危険性への理解も深まった好例と言えるでしょう。「真のマナー」とは、誰かを急がせることではなく、誰もが安全に目的地に着けるようにすること。黄色い線の内側に立ち、手すりにつかまる。このシンプルな行動を徹底したいものです。
まとめ
長年親しんできた「片側空け」の習慣を変えるのは簡単ではありません。しかし、統計が示す事故の増加や、身体的な理由で不便を感じている人たちの声を無視することはできません。急いでいる時こそ、一歩立ち止まる余裕を持つ。そんな優しさが、安全なエスカレーター利用に繋がります。次にエスカレーターに乗る時は、勇気を持って「空いている側」に立ち止まってみませんか?あなたのその一歩が、新しい当たり前を作るきっかけになるかもしれません。
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